2009年09月04日

特定の対象だけに声を届ける広告板と、「神の声」兵器

人の脳そのものに声を伝え、神に語りかけられたと思い込ませる装置、いわゆる「神の声」兵器は、軍事の世界では都市伝説となっている。

防衛関係のワークショップで定期的に触れられては、決まって誰かが既に実用化されているとひそひそ話しだすのだ(皮肉なことに、私がこの装置を知った防衛関連の会議は、ブログ『Danger Room』の共同執筆者であるNoahに出会った場所でもある[旧約聖書に登場する「ノア」は、神が大洪水を起こしたとき、「神の声」を聞いて箱舟を造った])。

Steven Corman氏は、最近の『COMOPS Journal』の記事で、この都市伝説との遭遇を詳述している。記事から引用する。

この前、政府のワークショップで、「アラーの声」という新しい装置の説明を聞いた。遠くから1人だけにメッセージを伝える装置だという。

イラクで反乱軍の1人をターゲットにテストしたところ、その1人が急に辺りをきょろきょろ見回し、メッセージを聞いていない仲間たちと激しいやりとりを始めた、という話だった。私は半信半疑でこの話を聞いた。

この技術の原理は? 米Holosonic Research Labs社と米American Technology社はそれぞれ、音を特定の方向に導く技術を持っており、いずれも集団の1人だけにメッセージを聞かせることができる。

米国防総省の国防高等研究計画庁(DARPA)も、音を発射する技術(日本語版記事)を開発しているようだ。

米軍が長距離音響装置(LRAD)を神の声兵器として使っているという興味深い報告もある。『Strategy Page』から引用する。

イラクに駐留する複数の部隊が、LRADの「話し声」(「耳をつんざく音」ではない)で敵をもてあそんでいるようだ。イスラム教徒のテロリストは迷信にとらわれる傾向があり、当然ながら信心深い。LRADを使用すれば、彼らの頭の中に「神の言葉」を送り込むことができる。もし、自分にしか聞こえない声で、神から降伏や退散を命じられたら、どうするだろう?

Corman氏も紹介しているように、『CNET』は最近、ニューヨークにある広告板に、同様の技術が使われたと伝えた。米A&E Television Networks社のテレビ番組『Paranormal State』を宣伝するものだ。

[広告板の上に特殊装置が付いており、前を歩く人にフォーカスされた「声」を聞かせる仕組み。"Who is there?"という声の聞こえる様子を伝える動画はこちら。

この広告は、前述したHolosonic Research Lab社の『Audio Spotlight』技術を使っている。ワイアード過去記事(日本語版記事)によると、この技術は、人間の可聴範囲の上限である20キロヘルツを大きく超える60キロヘルツ域の超音波を発することで、ターゲットを絞ったコントロールを可能にしている。この超音波は、空気との相互作用で可聴音に変わる。作り出したい音の波形から「リバース・エンジニアリング」することで、発生させるべき適切な超音波信号を決定するアルゴリズムを利用している。]

音を特定の方向に指向させる技術のさらに上を行く技術が、マイクロ波聴覚効果(フレイ効果)として1960年頃から知られている技術だ。[マイクロ波を(レーダーのように)パルス波形にして人に照射すると、音を聞く事ができる現象。通常の音波が聞けない聴覚障害者でもこの音は聞こえるとされる。瞬間的なエネルギー吸収によって組織がわずかに熱膨張して弾性波が生じ,これが聴覚器官によって感知される現象とされる(PDF)。]このマイクロ波によって作り出される音は、頭の中から発せられたように聞こえる。ブルックス空軍基地でマイクロ波に関する極秘の研究が進められているという噂が絶えないが、米空軍は頑固に口を閉ざしている。

このようなことを考えてくると、「神の声」兵器や「アラーの声」兵器のことを考えずにはいられない。真実なのか? それとも、でたらめか? ある防衛関係の記者から聞いた話によると、アラーの声が聞こえるだけでなく、アラーの姿がホログラフィーで頭上に見えるという(アラーの外見は誰が決めるのだろう?)。

では、この兵器は実在するのか? 私には分からない。ただ、防衛関連の会議でこのテーマが取り上げられたとき、誰一人として、ある明白な疑問を口に出さないのは面白い。その疑問とは、この装置で人々は本当に神に語りかけられたと信じるのだろうか、というものだ。私は信じないと思う。

posted by ubermensch at 01:07| Comment(1) | 世界征服系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつのまにやら本格的すぎるほど本格的になってるな。

いままで読んだ中でこれが一番興味深い。
ただ、事実だとしても宗教関係にやや薄い傾向にある日本にははたして通じるのか。。。
一部の宗教信者なら効果は見込めるだろうが、それ以外の無宗教派に対しての洗脳効果が心配だ。
まぁ、『神の声』という限定じゃなくてもいいのだろうが、まだまだ考察点は多数ありそうだ。

Posted by 食卓にある某 at 2009年09月06日 19:05
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